古代人は経験によって芳香植物の有効性を知り言い伝えられてきました。現在では芳香植物から最も価値のある精油を蒸留する技術が生まれ、精油の身体に対する働きは化学的に証明されています。

植物には炭素、水素、酸素、窒素、マグネシウム、カリウムなどたくさんの元素が含まれていますが、精油の大半は炭素、水素、酸素で構成されています。精油は天然の化学物質が数十から数百集まって構成されている有機化合物です。精油は化学構造によってグループに分類され、特有の芳香や作用を示します。

精油に含まれる芳香化学物質の大半はテルペン類です。
テルペン類は5の倍数の炭素数を持つテルペン系炭化水素で構成されます。炭素数が10集まったのモノテルペン、15集まったセスキテルペン、20集まったジテルペンです。テルペン類は弱い殺菌・消毒作用をもちます。
モノテルペン類は大半の精油に含まれる揮発性の高い成分です。殺菌、鎮痛作用などがあります。α-ピネン、リモネンなどがあり、劣化しやすいテルペン類の中でも特に酸化が早い成分です。
セスキテルペンは鎮静作用、抗炎症作用などがあります。カマズレン、サンタレン、β-カリオフィレンなどがあります。

精油の性質は炭素骨格と原子グループの官能基の構成によって決まります。精油に含まれる成分のほとんどはテルペン系炭化水素に官能基がついたものです。炭素骨格と官能基の組み合わせにはアルコール類、フェノール類、カルボン酸類、オキシド類、ケトン類、アルデヒド類、ラクトン類があります。