精油を最も安全・手軽に活用できる方法は芳香浴です。
これは森林浴の香りによる効果とほぼ同じです。森林浴効果は体力づくりとなるウォーキングや、視覚から得る景観の効果なども複合されていますが、有益な芳香成分を現すフィトンチッドによる効果が大きいのも事実です。樹木が放つフィトンチッドは人の呼吸器へ取り込まれ、興奮、鎮静などの作用を示しますが、これもアロマテラピーの効果だといえます。

一般的な芳香浴は精油の香りを室内に広げる方法です。例えば、精油を3滴ほどティッシュに垂らしデスク周りに置いたり、布団のシーツに精油を直接垂らす方法があります。これらの方法はほとんど香りが広がらないため、部屋中に香りを広げるには精油を拡散する道具を用います。

最も人気があるのが電気式のアロマライト(アロマランプ)です。アロマライトの上部に直接精油を垂らし、熱により香りを拡散します。精油をアロマライトに直接垂らすため、使用後は拭き取るなどの手入れをしておくと、汚れが落ちやすく便利です。通常、アロマライトは陶器製かガラス製でできています。
キャンドルの熱によって上部の精油を拡散するオイルウォーマー(オイルポット)があります。これはキャンドルで熱を加えるため、精油を落とす前に上部の皿に水をはっておきます。火を使うため絶対に空焚きは避け、環境に気を配る必要があります。必ず陶器製など不燃性のものを選んでください。
芳香拡散力が最も強いのはディフューザーです。ディフューザーは電気式で、エアポンプにより精油の微粒子を拡散させます。精油成分は熱によって変性することを考えると最適ですが、大量の精油が必要になり、精油の入れ替えが大変なことや精油をブレンドすることを考えるとあまり一般的ではありません。

芳香持続時間や拡散力は精油の性質によって異なります。柑橘系などトップノートの精油は広がりも早いですが、持続時間は短く、サンダルウッドなどベースノートはその逆になります。調和のとれた香りを作るのはとても難しいので単独の精油の芳香もおすすめですが、精油の性質を考えながらブレンドし、芳香すると香りの幅が広がります。