アロマテラピーを行う上で必ず必要になるのが精油(エッセンシャルオイル)です。
精油とは植物の花、葉、果皮などから抽出される天然の芳香成分のことです。芳香植物といわれる約3,500種類のうち、精油が得られる植物は約200類です。その中でも通常使われている精油は50~60種類程度です。
植物は根から土壌の水とミネラルを吸収し、葉から空気中の二酸化炭素を取り込み酸素を吐き出し代謝を行っています。これが植物の生命を維持し成長するための光合成で、第一代謝と呼ばれます。
精油は植物の生命機能に必ずしも必要にならない第二代謝で生まれます。この第二代謝により生まれるのは精油以外にアルカロイド、ステロイド、タンニン、樹脂などの物質です。この中で精油は最も商業的価値のある物質です。
作られた精油は植物中の油胞に貯蔵されます。精油を貯蔵する部位は植物によって異なります。貯蔵する部位を原料として精油を抽出します。
植物が精油を中心とした第二代謝産物を貯蔵するのはこれらの理由が考えられています。
・草食幼虫、草食動物、細菌、真菌などの微生物からの防御(忌避効果)
・昆虫を引き寄せ受粉を助ける(誘引効果)
・植物が負った傷の治癒
・エネルギーの貯蔵
・周辺植物の成長を阻害する
・高温、乾燥地の環境から脱水を防止する
精油は植物から水蒸気蒸留法によって抽出されます。精油を抽出するためには膨大な量の植物を必要とし、そこから得られる精油は極めて微量のため、生産された精油は大変高価になります。抽出された精油は植物中に存在する精油と比べて100倍以上の濃度に濃縮されています。
精油は天然の科学物質が数十~数百集まってできた有機化合物で、人間の体に対して消毒殺菌、組織の修復、血行促進など様々な効果を示します。アロマテラピーでは精油の特性を生かし、芳香浴、吸入、マッサージといった方法を使い、心身の健康に役立てます。
通常、精油とは水蒸気蒸留法によって得られる芳香物質を指しますが、アロマテラピーでは圧搾法や溶剤抽出法などで得られたエッセンスやアブソリュートも精油と呼ばれています。