アロマテラピーは精油の蒸留法を確立する事で大きく発展します。
パキスタンでは5,000年前に作られた原始的な蒸留器が発見されていますが、より純度の高い精油が抽出できるようになったのは10世紀末のことです。新しい蒸留技術は錬金術の過程で生まれました。この蒸留技術を発明したのは医師であり、哲学者のアラブ人、イブン・シーナ(アウィケンナ)です。イブン・シーナはこれまであった蒸留器に冷却管をつけることで水蒸気蒸留法を確立しました。このとき、最初に生まれた精油はローズだったといわれています。

1,920年代、フランスの科学者ルネ・モーリス・ガットフォセは研究中の爆発事故により腕に大きな火傷を負います。ガットフォセは火傷の治療にラベンダーの精油を使い、完全に回復させた経験から精油の研究を重ね、1,937年科学論文「アロマテラピー」を出版します。芳香療法と訳されるアロマテラピーはガットフォセが作った造語です。
フランス軍医のジャン・バルネは戦前での負傷兵の治療に精油を用いました。1,964年には精油の治療特性をまとめた「ジャン・バルネ博士の植物=芳香療法」を出版し、アロマテラピーを世に広めました。

オーストリア出身のマルグリット・モーリーは1,950年代から60年代にかけてイギリスにホリスティックアロマテラピーを広めます。フランスの医療機関で行われるメディカル・アロマテラピーに対し、精油を使ったマッサージを中心とし、心身の健康、美容を含めた包括的なホリスティック・アロマテラピーを確立しました。モーリーは1,961年、「生命と若さの秘密を」を出版し、翌年美容の国際的な「シデスコ賞」を受賞しています。

現在、日本ではフランスの医療機関で行われる精油の内服は行われず、精油を使ったマッサージや心理療法などのホリスティック・アロマテラピーが行われています。