アロマテラピーの効果は単に香りによるリラックス効果と思われがちですが、この働きは科学的、生理的な根拠があります。アロマテラピーの効果を知るためには、このしくみを知っておく必要があります。

香りを嗅ぎ取る嗅覚は五感の中で、最も本能に近い感覚器だといわれます。野生動物は嗅覚により、餌のありかを見つけ、敵の接近を察知し、繁殖にも大きく関わり、生命を維持しています。情報社会で生きる人間は視覚による情報収集の割合がほとんどを占めますが、それでも古い食べ物を嗅ぎ分けたり、ガス漏れを察知したり危険から身を防いでいます。香りを感知する働きは防御反応だけではなく、精神面、身体面に有益な効果をもたらします。

鼻孔に入った芳香分子は嗅上皮にとらえられ、その情報は電気信号となり大脳辺縁系に伝わります。大脳辺縁系は呼吸や心拍、血圧、記憶など生理的な働きや感情と強く結びついています。大脳辺縁系から自律神経、内分泌系の中枢、視床下部、脳下垂体へと伝達され、体温、消化、睡眠などに関わるホルモンの分泌を調節します。
緊張しているときに好きな香りを嗅ぐと、呼吸が落ち着いてくるのはそのためです。嗅覚が五感の中で最も本能に近い感覚器といわれるのは大脳辺縁系と直接連絡する唯一の器官だからです。

アロマテラピーとは精油を有益に活用することです。眠れないときや気がはやるときは鎮静作用のある精油を芳香して緊張を沈めたり、抑うつ状態のときは高揚効果のある精油を芳香し心を明るくさせることができます。

香りを使って精神面の不調を改善するためには、適切な精油を選ぶこと、その精油の香りが好ましいと感じられることが重要です。活動したいときに鎮静作用のある精油を選んだり、選んだ精油の香りが苦手な場合、逆効果になることがあるを覚えておいてください。